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史上初4団体世界王者日本人独占の偉業なるか

THE PAGE - 5月20日(土) 5時0分

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(THE PAGE)

2日間で5つの世界戦が開催される『ボクシングフェス2017 SUPER 2 DAYS』が、今日から有明コロシアムで始まるが、日本ボクシング界の歴史を塗り替える偉業が達成されるかもしれない。世界の主要4団体、WBC、WBA、WBO、IBFのライトフライ級の王者をすべて日本人が独占する可能性があるのだ。
 
 20日に有明でWBC世界ライトフライ級王者のガニガン・ロペス(35、メキシコ)のベルトに同級4位の拳四朗(25、BMB)が挑戦、同日WB0世界ライトフライ級王者の田中恒成(21、畑中)が名古屋で同級1位のアンヘル・アコスタ(26、プエルトリコ)と初防衛戦を行うが、拳四朗が新王者となり、田中が初防衛に成功すれば、この時点で、WBAの同級王座を5度防衛している田口良一(30、ワタナベ)、IBF同級王座の統一戦を21日に控える八重樫東(34、大橋)と、ライトフライ級の世界4団体のベルトをすべて日本人が独占することになるのだ。JBCが、WBA、WBCに続き、WBO、IBFの世界タイトルを承認、加盟したのが2013 年。4年目にして歴史的な瞬間が訪れることになる。

 だが、拳四朗はプロ10戦目での世界初挑戦。田中も16勝16KO無敗のパーフェクトレコーダーとの指名試合、しかも八重樫は、暫定王者のミラン・メリンド(29、比国)との統一戦という大きなハードルをクリアしててこそ成立する偉業で決して簡単ではない。
 
 試合時間から追うと、先陣をきるのは、名古屋での2階級王者、田中の初防衛戦だ。アコスタは、アマチュアでは184戦しているハードパンチャーでブンブン振り回してくる。特に左フックが要注意である。一発もらえば試合が終わるが、反面、粗さがある。天才肌の田中が、いかに勇気をもってスピード&テクニックで対抗できるか。スリリングな試合になることは間違いない。

 続いて有明のトリプル世界戦の1番手のリングに上がる拳四朗。拳四朗はリングネームだが、本名は寺地拳四朗。父でジムの会長が元東洋太平洋ライトヘビー級王者、元日本ミドル級王者の寺地永。親子鷹である。

「緊張とかはない。いつもどおり。気合を入れて絶対に勝ちます。僕のボクシングで圧勝したい。北斗の拳のイメージがあると思うので、その世代の方には覚えやすい名前だと思うし、たくさんの方に名前を知ってもらうとうれしいです。父には世界のベルトをとって恩返しをしたい。いや親孝行ですね」

 劇画の世界から飛び出た名前とは違い、いつも笑顔で飄々としている。父に目元だけが似た可愛い風貌。それでもリングに上がると豹変する。

 35歳の王者、ロペスは、昨年3月にサラリーマンボクサー、木村悠から辛くも判定でベルトを奪ったサウスポー。怖さはないが、老獪な上手さがある。守りに回られたら厄介である。寺地会長は、「スピードで圧倒できると思う。試合前日でも落ち着いているしね。勝てるでしょう」と、ポジティブな見方をしている。
 サウスポー対策を徹底してきた。拳四朗も左ジャブを軸としたヒット&アウエーのスタイルが基本としてあり、ここ数試合はカウンターをとれる力強さも出てきている。

 ロペスは、「日本は慣れた場所だしベルトを持って帰る」と言うが、まだ成長過程の拳四朗が、若さとスピードで王者を撃破する公算は高い。この瞬間、日本人による4団体制覇となるが、21日に八重樫がベルトを統一してこそ4団体タイトルの日本人独占という偉業の仕上げとなる。
 実は、この八重樫が対戦する暫定王者のメリンドが手強い。35勝2敗のキャリアだが、その2敗は、2013年にWBA、WBO世界フライ級タイトル戦でファン・フランシスコ・エストラーダに判定負けしたものと、八重樫が激闘の末、現在のベルトを獲得したハビエル・メンドーサに不運な負傷判定で敗れた2敗だけ。パンチ力が、突出しているわけではないが、フィリピンの名門、アラジムで鍛えられたディフェンスでガードも固く、攻守のバランスが抜群のカウンターパンチャー。隙のないボクサーである。

 この日の会見でも、3度目の世界戦となるメリンドは、「コンディションもいい状態に仕上がっている。八重樫という素晴らしいボクサーと彼の母国である日本で戦えるのがうれしい。八重樫もファイトスタイルを変えてこないだろうし私も変えない。私のような戦術的なファイターと、どういう戦いをしてくるかが楽しみ。持ち得る限りのスキルを見せて違いを見せる」と八重樫へのリスペクトを忘れずにコメントした。

 こういう態度は自信の裏返しである。不気味なのである。
 フィリピンはマニー・パッキャオを生んだ母国だが、「マニーはレジェンド。でもパッキャオはパッキャオ。私は私。自分のスタイルを確立していければいい」と、落ち着いて語った。

 八重樫も「試合は蓋を開けてみないとわからない。いろんなプランを用意してきた、そのベストを選択する。34歳になったが身体的には衰えている部分はあまりない。それをしっかりと証明できればと思う。フィジカルは落ちていない」という。

 それでも、どこからどうメリンドを崩すかの見当がつきにくい。

 松本トレーナーは、「ガードの上からでもどんどん打つこと。フィジカルでは上回っているので、そこを有利に運びたい。メリンドが負けた試合は、いずれも下がらされている。そうなるともろい。鼻にも古傷がありますしね」と、牽制した。昨年12月に指名試合を指令されていたが、鼻の負傷を理由に辞退していた。

「勝負どころで激闘をしなければいけないと思う」
 松本トレーナーは、そうも言った。
 前回のV2戦は、顔を腫らさずにフィニッシュに持ち込んだ八重樫だったが、また身を切った命の取り合いのような試合をしなければ、ベルトを守るには難しいのかもしれない。

「勝ったり負けたりのキャリア。見ているファンの方々には立ち上がる姿とか、一度落ちても、もう一回いけるということを感じてもらえる試合になればいい」
 
 八重樫は決意をこめて戦う理由を語った。

 ライトフライ級の日本人による4団体独占となると、クローズアップされてくるのが統一戦である。中京大の学生でもある田中は、「八重樫、田口」という名前を出して統一戦を呼びかける。田口も「みんながみたいカードをやりたい。田中君とは噛み合うんじゃないですか」とも言う。大橋会長も、かつて井岡一翔と八重樫の統一戦を実現させた人。当然、気運は高まるだろうが、指名試合とオプションの問題があって、それらをクリアした王者同士でないと統一戦は難しい。また放送局が、田口はテレ東、拳四朗と八重樫がフジテレビ、田中がCBC(TBS系)とバラバラのため、一昔前のような局の強い縛りはないが、調整は必要になってくるだろう。4団体統一トーナメント構想まで口にする関係者もいる。夢のあるファイトが広がりそうだ。
 

 

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