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「9歳の時に…」人気歌手の告白、性犯罪への対策動かす

朝日新聞デジタル - 10月12日(木) 5時3分

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(朝日新聞デジタル)

 ベトナムで闇に葬られてきた子どもに対する性犯罪事件に光が当たり始めている。加害者が罰せられない状況に、被害経験をもつ著名人や女性団体、一般のネットユーザーらが声を上げて政府を動かし、首相が捜査の徹底を当局に指示する事態になった。
 「9歳の時、何度も性的虐待を受けた。話しても、小さな女の子の言葉を誰も信じてくれなかった」
 若者に人気の歌手トゥイ・ティエンさん(31)が5月、自らの性犯罪被害の経験を告白。衝撃とともに多くの共感を集めた。
 実業家のレ・ホアイ・アインさん(51)も自らの経験を明かし、被害者支援を続けている。彼女たちを突き動かすのは、性犯罪に巻き込まれた子どもへの不当な扱いに対する怒りだ。
 公安省によると、ベトナムの子どもへの性的虐待事件は増加傾向にあり、2015年は1700件に。だが、容疑者の検挙は一握りに過ぎない。
 南部ブンタウでは昨年までの数年に7人の女児が同じ団地の男に体を触られたり、キスされたりする事件が発覚。だが、容疑者は76歳で元国営銀行幹部とされ、高齢を理由に被害届から10カ月たっても捜査が始まらなかった。
 今年2月には、南部カマウで隣人によるレイプ被害を何度も訴えていた少女(13)が、「証拠不十分」として警察に捜査を打ち切られた後、自殺した。
 二つの事件が報じられると、フェイスブックなどで当局批判が高まった。3月には女性団体などでつくる「ジェンダー差別に基づく暴力防止ネットワーク」が政府に対策を講じるよう求めた嘆願書に、約3万人の署名が集まった。
 これを受け、フック首相は4月、関係当局に「徹底捜査」を指示。政府は「111番」でつながる子どもの電話相談窓口を新設するなど、対応に動き始めた。
 タブー視されてきた性犯罪の議論がなされるようになったのは「経済成長とネットの普及でベトナム社会が開かれたためだ」と、社会開発学研究所のクア・トゥ・ホンさん(56)は話す。
 だが、容疑者が正当に裁かれる例は少ない。南部ビントゥアン省の村で昨年末に被害に遭った女児(10)は、警察や地元政府に加害者側との和解を強要される一方で、学校で「レイプの子」とからかわれ、転居を余儀なくされた。ベトナム国営放送は9月、今年明らかになった800件のうち、裁判が始まったのは10件にとどまると報じた。国連も3月、「報じられた事件は氷山の一角だ」と懸念を示し、政府のさらなる対応を求めている。(ハノイ=鈴木暁子)

 

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